電通が汐留の本社ビルを売却する。
社屋を建てるために転換社債を発行、株式を上場してまで創り上げた本社ビル。
これを売却するという。
売却するまでに経営が悪化しているのか?
電通は戦前の同盟通信社の広告部門として、電報通信社として設立された。
戦後、同盟通信社は解散して、社団法人共同通信社と時事通信社に分かれた。
広告部門の電報通信社は「電通」と名称を変更して広告会社として生き残った。
売上が1兆5千億円を超える広告代理店は世界に類を見ない規模であった。
その電通が倒産の危機にある。
仮に電通が倒産すると連鎖的にマスコマ各社の経営もヤバくなる。
例えば、新聞社の広告ページを買い切り、好きなように広告価格を設定して売り捌いた。
テレビもゴールデンタイムの枠を買い切り、これまた好きに売りさばく。
雑誌、ラジオも同様であった。
さらに、選挙ともなれば政党のキャンペーンイメージ広告をテレビ、ラジオを流すために、企画、製作を一手に引き受けるのだ。
ながらく、広告会社の2位の博報堂から10位の広告会社の売り上げ合計は、電通に勝てなかった。
電通帝国の崩壊が始まったのは、いつなのか?
2012年に4Gのサービスが開始される。そこにiPhoneのCPUの進化もありスマートホンが爆発的に売れ始める。
高速通信ができるようになると、ニュースは瞬時に動画配信されるようになる。
新聞は雪崩を打つかの如く部数は減少した。YouTubeが活況となりテレビの視聴率が低下する。
ニュースはSNSでいい。テレビよりもYouTubeが面白い。
電通は、馬鹿にしていたSNSとインターネットに対して、何も対策ができなかった。
YouTubeはGoogleの傘下にある企業。広告は全てGoogleの独占。
企業はYouTubeにCMを流す。5秒後にCMを飛ばすことができる。飛ばされた広告が何回あるのか。最後まで見てくれたのが何回あるのか?資料請求してくれた人が何人いるのか?
この結果が、リアルタイムでわかるGoogle広告に企業は魅力を感じる。広告主がリアルに効果測定できるのだ。
この仕組みは新聞、テレビ、ラジオ、雑誌という媒体広告には大打撃だった。
WebはASPに支配されている。無数にあるASPに対して、電通は打つ手がない。
電通は外部からインターネット事業のプロを集め始める。
これが電通デジタルという会社なんだけど、この会社の売り上げがものすごくいい。
だけど、電通本社の赤字を埋めることができるパワーはまだない。
媒体局を全て分社化する?
営業局の営業マンは整理する。
一回、解体するしか生き延びる道は、ないのかもしれない。