歌舞伎座の裏は銀座最大のグルメタウンである。
値段も庶民価格で、美味しいご飯が食べられる。
「歌舞伎役者が稽古の合間に食べにくるように、他の店も待っている」と鮨屋の親方が言っていた。
通り過ぎようとした瞬間、私の目は看板からフォーカスを離すことはなかった。
「塩レモンラグーソース」
塩レモンはわかる。
クリームソース?
失敗するとレモンの酸味でソースは分離する。
看板を見つめていたら後ろから
「どーぞ」と言われ入った。
店内には客はいない。
座って食べるのはいいのだが、
ガラスの扉が開いている。
エアコンがかかっているが
外からは暑い風が入るのだ。
そこに二人客が来た。
「この店暑いね」
「これがいいのさ。シチリアの気怠い風が入る」
なるほどな。
南イタリアの風に見立てた粋な計らいなのね。
バスタがやってきた。
素晴らしい。
シチリアの風を感じながらたべる。
パスタにはレモンピールが
夜空の星の如くふりかかり
ラグーソースは、流れ星の
如く鎮座してる。
月の光にのようなレモンが
大きく顔を出してる。
レモンから食べることにした。
皮付きの塩レモンはフライパンで
熱を浴びていた。
噛み締めれば、寝ぼけた頭を
張り倒す強烈なレモンの香🍋!
パスタとラグーソースの絡みも最高。
塩レモンのなんとも言えぬ酸味と
海の味!
シチリアの大地で育ったレモンと塩だよ。
最高のパスタに出会った。