航空会社の経営がやばいのは今に始まった事ではない。
外資系エアラインの、CAは解雇されている。
中東の航空会社に勤務していた友人から、「解雇されたから、帰国する」とメールが来て成田までお迎えに行った。
車の中で彼女は泣き出した。
「あー、なんのためにアメリカに留学して、英語とアラビア語をマスターして頑張ってきたのかわからない。このままだと自己破産の道しかない」
ん?
「そういえば、弁護士の友達がアラビア語の通訳を探していたよ」
「なにそれ?」
「国選弁護で刑事事件の案件をとるときに、被疑者との会話ができないと嘆いていた」
「弁護士さんは通訳いないの?」
「いるわけないだろ。金払って探してきたら経費に見合わない。ビジネススクール出てたよね。そもそも、ビジネススクール卒業して、CAなってることが間違っている」
「だって、世界中を旅したかったんだもん」
「アホか?」
現地の荷物は売り払ってきたらしい。服だけ実家に送ったとのこと。
しばらく、こやつは私の家に居候だな。
私の家につき、話を聞き悲惨な状況を知った。
まだ、いいのかもしれない。
資産は服以外にない。
冷静に考えて、こやつは使えるかもしれない。
英会話は完璧に使いこなす。
アラビア語も二つの方言を使いこなす。
ならば、売り込み先は決まった。
泣き止んだ友の履歴書を書かせて、アポを取り始めた。
「あ!連れてきて」
と言ってくれたのは弁護士の後輩!
事務所に行き面接を受ける。
そこでテストになった。
接見するのだ。
被疑者との会話を聞きながら、メモする。英語とアラビア語を駆使して、通訳する。
アラビア語で聞き、英語で確認するらしい。
帰ってきたら、「採用されたよ。補助者として」と、嬉し泣きしていた。
しばらくは、こやつの面倒を見ることになるな。
と、思っていたら「あのね。どうしようかなと思って相談なんだよね」
もう一人、、国内メジャーキャリアのCAから電話が入る。
「このままだと自己破産だよ」
「なんで?」
「だって、月に4回のフライトじゃ食べれないから、金借りたのだけどこのままだと、借金地獄だよ」
なんでまた、こんなにも電話が来るのかな?
この子は英語だけはできる。
英語だけな。
さて、どこに売り込むかな?
難しい相談がやたら来るのだよ。
開業前で疲れてるのに。