風のテラスがすき

てきとーにいきてみたいな。のんびりと。でも、そうもいかないか。

群馬県に引っ越した友の家に行ったら毎日がキャンプだった!

久々に友から電話がきた。

「連休はおこもりなの?」

「特にどこも行きませんけどね」

「ならば、うちに来る?群馬だけど」

「は?麻布のマンションはどうしたのよ」

「貸したよ」

「群馬のどこよ」

「高崎まで新幹線できてよ。迎えに行くから」

 

そう言われて、淑子と新人くんの3人で

友の家に行くことにした。

 

友から言われたことは

ドレスコードジーンズ」

 

これってなんだろうね。

そう思いながらも、準備して新幹線に

乗り込んだのよ。

 

大宮駅から新幹線だ30分で高崎に到着した。

 

車で迎えにきてくれた。

高崎からさらに高速に乗り北上すると

友の家があった。

 

なんと450坪の大きなお家。

8LDKの古民家を買って改装した。

 

Wi-Fiも完璧にある。

そして、驚いたのは庭の広さだ。

 

畑まである。

ちなみに、友は独身で彼は週末に

やってくるらしいが、今週は来ない

のだと。

 

「三連休は仕事なのだと」

「へーーー!大変だね。実は他の女とどっか行ってるんじゃないの?」

「いや、GPSによると家にいるな」

GPSで追跡しているの?」

「もちろん、車に鞄にありとあらゆるデバイスGPSを仕掛けている」

「なんでそこまでするのよ」

「まあ、保険だね」

 

ルームツアーを開催してもらった。

風呂とトイレとキッチンは麻布のマンション同様に超近代的になっている。

 

囲炉裏がある。

この薪るの燃える火を見てるだけで癒される。

 

天井からは鍋が吊るされていて

何やらグツグツと煮込まれている。

 

「お昼ご飯にしようか」

 

里芋がたくさん入った芋の子鍋。

 

味噌仕立てになっていて美味い。

さらに、昼から熱燗が出てきた。

 

まじでテンションは爆あがり。

 

「この家どうしたの」

「買ったのよ。安かったよ」

「いくら」

「改装費込みで小さいベンツ1台ぐらい。だって築100年は超えている古民家だもん」

「改装業者は?」

「大したことないよ。古民家専門の改修業者がいてさ、部分的に仮装してもらっている」

「仕事はどうしているの」

「テレワークだよ。デザインしてテキスト書いて送っておしまい」

 

彼女は東京芸術大学を卒業後、広告会社に就職して独立した。

仕事の依頼は、世界中から来ている。

 

「平日は寂しくないの」

「平日が忙しくてさ。近所の爺いさん婆さんが、遊びにくるのよ」

「隣の人?」

「そうよ。ばあちゃんに畑仕事のことを教わって、田んぼは爺さんに教わった」

「は?農業もやっているの?」

「これがちょー大変なの。ガチで死にそうになっていた。だけど慣れたら楽しくなってきた」

 

囲炉裏で魚を焼き始める。

「これって、ハタハタでしょ」

「そうよ。秋田の実家から送られてきた」

 

よく見ると囲炉裏の上には大根が吊るされている。

 

あの大根が本物の「いぶりがっこ」だよね。

うまそーーーーーー。

 

「でね、今日は庭にテントを貼ってキャンプにしようかなと思って」

「なんで、キャンプするの?」

「冬用のテント買ったんだよね。薪ストーブも買った」

 

ちなみに、私も淑子も新人くんもキャンプ女子である。

新人くんはドバイ在住の時に砂漠にテントを貼って旅するツアーに行ったそうな。

 

テントと聞いた瞬間に冒険心に火がついた。

 

「ご飯終わり。テント貼ろうよ」

 

テントを貼り始める。

慣れたもんだよ

パイプを繋ぎ、フレームを差し込み

テントはすぐに上がる。

 

そこに薪ストーブを置くレンガをひき

ストーブのせて煙突を立てる。

 

石油ストーブも入れる。

マキ小屋から薪を運ぶ。

 

松のはを集めてストーブに入れる。

そして、火をつける。

 

燃え始めるけど最初は煙い。

そして、煙突が温まり上昇気流が出てきた。

 

ストーブの上にはヤカンが乗って

いい感じに湿度も上がる。

 

石油ストーブもつけた。

ちょー楽しい。

 

ぐい飲みを持ってきて、

つまみの自家製いぶりがっこクリームチーズ

 

たまらないよ。

 

お風呂はでかいからね。

寝るのはテントでも家でもいいよ。

 

「テントに決まってるでしょ」

 

ベットを作り寝袋から足出して

ガールズトークが炸裂する。

 

「こんばんは何を作るの?」

ダッチオーブンでタンドリーチキンを丸鳥で作るでしょ。サラダはすぐにできるし、舌鮃のムニエルにワインかな」

 

「テントの外で薪を炊いて作るの?」

「もちろん。コールマンのファイヤースタンドがあるから大丈夫」

 

おちゃが飲みたくなって、紅茶を入れたのよ。

これがばりうま。

 

水がうまいんだよね。

このクソ田舎楽しいな。

 

「タンドリーチキンならさ、インドカレー作る?」

「材料はあるよ」

 

と言われてキッチンに行って材料を持ってきて

庭で料理を作る楽しさだよ。

 

きゃー田舎最高。

 

テントの中で大騒ぎしていたら隣の家のじいちゃんがやってきた。

「何してるの?」

「キャンプ」

「面白いことしてるな。家の庭でキャンプか」

 

と言いながらも、酒を持って来てくれた。

「これ、うめ酒だからのめ」

 

と行って隣のじいちゃんは帰った。

 

「爺さんは毎日来るの?」

「そう、女の一人暮らしだから心配だと言ってね。毎日、ばあちゃんとじいちゃんが来てくれるのだけどね、本音は話し相手ができた感じかな?」

「そうか。若い人いないんだね」

「この周りではいないね」

「住民票は移したの」

「移したよ」

「田舎暮らしはどうなのよ」

「寂しいと感じてる暇がないんだよ。春になったら農作業があるでしょ。仕事は来るでしょ。納品に忙しいでしょ。じい、ばあの相手するでしょ」

 

警察官も定期にお茶を飲みに来るらしい。

玄関先でお茶出している。

変な男が来ないようにね。

 

もっとも、友は合気道の達人で黒帯だからね。

合気道は教えに行っているよ」

「忙しそうだね」

 

でもさ、毎日流れ星見ながら酒飲んで、大きなお風呂に入ってさ。

プロパンガスだからガス代が高いのだよね。

これが困ったもんらしい。

 

水道は凍結防止になっているらしくいい感じ。

 

庭で薪に火をつけてダッチオーブン

鳥焼いて、ナンを焼いて、横でお湯沸かして

焼酎のお湯割り。

 

テントでグッスリ寝れたしね。

翌朝も庭で目玉焼きを焼いて

パンを焼いて

バターをたっぷり塗って

コーヒーを入れて最高。

 

薪ストーブが最高だ。

 

「次の改装では囲炉裏は外そうかなと思って」

「なんでよ」

「薪ストーブというか大きな暖炉を入れようと思ってさ」

「熱れつ賛成」

「囲炉裏は残してもいいのだけど、ちょっとデザインを考え中」

 

「だって、建築科でしょ」

「そうよ。久々にやる気満々なんだよね」

「これをビジネスにするの」

「古民家を買って改装して、移民させるのだよ」

「ねーね。この近くでないかな」

「引っ越してくる」

「引っ越すこと考えてもいいな」

 

すると淑子が「あのさ、なんでそんなに単純なの」という。

「だって、仕事の打ち合わせはzoomが主流じゃん」

「今来てくれと言われたら、飛んで行くから仕事が来るのだろ」

「そうか」

 

「あのさ、部屋が余っているから別荘代わりに使っていいよ」

「嬉しい御言葉ですが、週末は彼が来るのでしょ」

「うーん。もう来ないかもね」

「え?どうして?」

「だって、あいつ今渋谷の円山町にいるもん」

と聞いて友のiPhoneが示す地図は確かに「ラブホ」だった。

 

「あ、もう切るからいいや」

「あんたそれでいいの?」

「もうあいつの浮気には疲れたんだよね」

「だって、GPS

 

「婚約してたんだよ。だけど、浮気がすごいから慰謝料取ってやろうかなとね」

「弁護士はすぐに手配できるぞ」

「頼むかな」

 

とちょっと悲しげなんだよね。

 

「ちなみにこの家に引っ越してくるのは迷惑かな?」

「歓迎するよ」

「ちょっと待ちなさいよ」

と淑子が叫ぶ。

 

赤羽は前線基地にすればいいさ。

居候にそのまま住んでもらおう。

 

「よく考えてから行動しろ」と淑子はお怒り気味。

 

ちょっと検討に値する。

だって、Wi-Fiが完璧だし。トイレが綺麗だし。キッチンも完璧だし。

広いお家に毎日キャンプ気分でしょ。

 

あとは、私の車があればいいよね。

実家の車を1台売ってもらうかな?

 

新車を買うかな。

車庫もあるし。

 

いいな、群馬県

 

「どうせ引っ越すなら軽井沢とかさ」と言い出す淑子に

「軽井沢はたけーんだよ」

 

と言った。

 

軽井沢は東京のみんなが来るからいや。

この群馬の田舎は来ない。

 

「ちなみに、スキー場まで30分だよ」

「スノボやり放題か」

「温泉もあるし」

「温泉?どこに」

「うちのお風呂は温泉だよ」

 

倒れそうになった。

最高すぎる。

 

「仕事で東京に行かなければいけない時は、隣のばあちゃんが留守番してくれるのだよ」

「まじ?」

「だってさ、盗まれてやばいものは実家に置いてきたし、Macがあればどこでも稼げるじゃん」

「その考え方大好き」

「それには賛成」と淑子が言うけど、東京が大好きな淑子は来ないな。

 

ロングローの18年を飲みながら

冷静に考えていた。

 

田舎に引っ越そう。

 

とういうか別荘にしてやるぞ。この家をな。

 

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